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不空羂索観音国重要文化財 (奈良時代) 一木造 像高189.9cm

不空羂索観音は六観音の一つで、一般に三目六臂の形相ですが、その他いろいろな異形の表現もあります。
羂索という綱を執り、あらゆる衆生を引きつけて救済する働きが空しからずということで、不空羂索観音と呼ばれています。奈良時代から鎌倉時代に及びその信仰は盛んでした。
本像は、頭上に高い単髷をつけ、丸い大きい顔に力強い慈眼を表し、高い鼻の下には引き締まった口もとを示しています。体部には胸飾りもなければ、石帯も見られません。極めて簡素な像で、台座までを一材で彫り出しています。
全体として量感のあふれた重厚な肉取りの像ですが、衣文の流れなどは割合に素朴です。ところどころに彩色の痕跡が見られ、他像同様彩色が施されていたことがわかります。八臂像ですが、持物はなく腕も後補になります。
当初の大らかで素朴な美しい像容が偲ばれます。

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